ホテル経営

 小林一三が第一ホテルの創業に携わったのは有名な話です。
 その系譜か、鉄道会社はおおむねホテル経営をしています。

 交通企業にとってのホテルの意味合いは、
1.観光地への宿泊誘引・魅力付けをする(観光ホテル機能)
2.沿線住民や企業の冠婚葬祭・会合などの需要に対応する(シティホテル機能)
3.特に都市部における駅前空間の効果的な活用(駅上ホテル=JR東日本
4.培ったノウハウの沿線外展開で事業の柱に
5.自社のステイタスシンボルとしての位置づけ(京王プラザホテル、小田急センチェリー等)

 近年、そのホテル事業が危機に陥っています。
 昨年末、近鉄都ホテルをはじめとするレジャー施設の再編に取り組みました。第一ホテルの経営破たんは2000年5月。2002年4月には阪急ホテルとの統合が図られ、第一阪急ホテルズになりました。

 なぜでしょうか?

  • 利益体質の問題

 もともと駅前立地の比較的先行的に取得した土地に立てられていますので、回転率がそう高くなくても利益を出せたというのが交通系ホテルの現実でしょう。「交通系」とはいいいがたいのですが、プリンスホテルなどがその典型ではないでしょうか。
 観光誘致などを目的にそれぞれの観光地に建てられたホテルは、季節ごとの変動も大きく、効率的な運用が難しいのではないでしょうか。

  • 総合力不足

 阪急ホテルで43ヶ所、東急ホテルが64ヶ所と大きなものもあります(いずれも国内、シティ、観光、ビジネス含めて)が、小田急電鉄系統で8ヶ所、京王ホテルは4ヶ所と近年展開中のビジネスホテルが都内に4ヶ所、東武が13ヶ所(グループ全体)。地方民鉄では、遠州鉄道が3ヶ所、松本電鉄が7ヶ所持っているほかはあまり大きなものはありません。地方民鉄は、地域観光に根ざしているところもありますが、多くは駅前立地のビジネスホテル+アルファの経営が目立ちます。

 いずれにせよ、片手間でやる仕事ではありません。
 今は、資産価値もあり、グループ内での統廃合や資産移転が中心ですが、このままでは、いずれ外資などに売られるところが出てくると予測します。

追記:2005年2月17日
9日に阪急電鉄は、ホテル事業再編の一環として、新阪急ホテル、第一阪急ホテルズと阪急ホテルマネジメント、それに京都、東京、神戸三田に別会社として作っていたホテルを統合し、阪急ホテルマネジメントに一本化することを発表した。4月1日付け。
JR東日本もホテルメトロポリタン、ホテルエドモンド、日本ホテル経営統合、ホテルを所有する一社と運営に特化した三社に再編する。