運輸調査局の研究報告会

 運輸調査局が行った2006年度研究報告会に行ってきた。
 「21世紀の鉄道経営の展望と課題」という大きなテーマでの報告会だった。
学者先生の話は、やや現実から浮き上がったものが目立ったが、規制緩和の観点からの話は参考になった。
 JR東日本小縣常務のSuica戦略の発表が一番面白かった。
戦略展開が緻密でこれでは他の電子マネーが太刀打ちできないのも無理はない。今もSuicaは一日1万枚程度増えているという。1900万枚を超え、首都圏人口の過半数Suicaを持ちつつあるのではないだろうか。
 また、Suicaではなく、「交通サービスのシームレス化」は公共交通全般を活性化させる流れとしてよく理解できた。パネルディスカッションでも「協調と競争」がテーマに上がったが、そのうちの「協調」がフェリカで叶うことになる。
 しかし、パネリストに民鉄関係者がいなかったためか、「競争」が何であるかを示せなかったのは惜しい。民鉄各社にとって競争とは、エリア、路線間の競争であり、長期にわたる街づくり、沿線文化作りを指す。不動産を事業の要としないJR関係者にはここはわからない。「エリア戦略」という発想に乏しいのだろう。
 それがゆえに、エリアを超越した戦略が出せているのかもしれない。JR東海キオスクが市中展開も視野に入れたキオスクを開発しているようだが、JR東日本もいずれ市中展開を他の付帯サービスで進めてくるはずだ。それは、恐ろしいことになるだろう。