川崎市麻生区のコミュニティバス社会実験1

住吉台くるくるバスは、自治体の補助金に依存しない新規路線創設のバスとして、成功事例に取り上げられることが多い。しかし、同じような環境上の条件があるにも関わらず、成功しないバス路線もある。「コミュニティバス」と呼ばれるバス路線の多くは、自治体からの補助金が無ければ成り立たない。持続可能な交通網は、本来、その営業収入だけで成り立つもののはずだ。補助金を当てにした運行は、健全な姿でない。

川崎市麻生区で3年前に行われたコミュニティバス社会実験の反省を元に、再度、社会実験が行われている。小田急読売ランド前から高石地区を通り、百合が丘駅までの区間を「乗り合いタクシー」が運行している。2月13日〜3月14日までの一ヶ月間だけだ。
現場に行ってみてきた「感覚」では、これは、失敗する。
理由は、採算性に尽きる。
1.7人乗り乗用車でしか運行できない路線。これでは、200円では採算を取るのは難しい。
2.巻き込み方が足りないのか、読売ランド前駅からの乗客は高石地区で降り、その後、乗客はほとんど乗らない。乗客ゼロの運行もあったらしい。
3.実験期間とは言っても、通勤、通学時間帯に読売ランド前駅に入る手立てが講じられていない。そのため、重要な通勤・通学需要を取り込めていない(7人乗り乗用車による乗り合いタクシーでは、端から取り込みようもないが)。

辛口になるが、もう少し、知恵を出してからやるべきだ。実験のやり方が性急すぎる、というか、補助金を前提にしているとしか思えない。これではだめだ。補助金なしででも運行可能なだけの知恵を出しておくべきだ。