小田急ダイヤ改正とJRとの競争

 2004年12月11日、小田急電鉄ダイヤ改正を行った。

http://www.d-cue.com/cgi-bin/info/pg02348.pl?key=869&info_kubun=d-cue&mode=online

 下北沢から新百合ヶ丘まで、ノンストップのダイヤを作る等、スピードアップに力を入れた内容だ。元々、JR東の湘南新宿ラインにより、湘南地区での存在を脅かされていたので、それに対応するためには、必要な措置だったに違いない。小田原〜新宿間では、JR1450円、小田急850円と料金的には十分勝つ余地はある。しかし、スピードでは10分近く負けており、消費者の選択はどちらに転ぶかまだまだわからない。

 先ほどのTBSテレビNEW23で川島令三氏は、首都圏の鉄道各社の施策として「これから、競争と協調」と言っていた。筑紫哲也氏なども「JRが仕掛けて競争状態になったので、良くなってきた」と言っている。
 しかし、既にJR東はその圧倒的な路線網、資金力にまかせて、正当な競争状態ではない状況に持ち込んでいるのではないかと私は思う。suicaパスネットの乗り入れについても、明らかにsuicaに分があり、パスネット側はJRに取り込まれて行くように見える。先行者利益は大きい。東武や相鉄がJR東へ乗り入れることになったのも、その路線網に取り込まれることで生き残りを計ろうとする意図に感じられてならない。
 忘れてはいけないのは、JR東は自社の利益にならないことには手を出さないことだ。
 東京モノレールがJR東に買収される前のことを思い出して欲しい。
 田町駅京浜東北線が停まらず、乗換えは非常に不便なままだった。それが買収されるなり、京浜東北線は停車し、改札付近を改修し、乗換えは便利になった。お客様のことを考えれば、それ以前にこれくらいのことはできたはずだ。自社のものになるまで、東京モノレールを苦しめていたのはだれだったのか。
 今でも、菊名駅には横浜線の快速電車は停まらない。東急との連絡は悪いままだ。新横浜駅の改修もJR東海だけが意欲的で、東にその意志はない。新宿駅は勝手に南の方に移動し、京王や小田急との乗換えはますます不便になる。
 これらのことを考えても、JR東に「協調」の意志はない。
 飲み込むだけだ。私鉄を打ち負かすことしか考えていない。顧客志向など二の次だ。

 私鉄は、別なところで対抗策を考えたほうがいい。
 阪急は、料金や速さではなく、「ダイヤ通りに走ること」を売り物に掲げている。どんなことがあっても、遅れません、という決意だ。人身事故があったとしても、遅れは8分以内に収めている。それだけ、JR西は遅れたりするということだ。そこに差別化の種を見出した。
 首都圏でも、京王にその手が使えるのではないか。複数の路線があり、複雑になると、できなくなってしまうが、今ならまだできる。

 私鉄連合がもっと「協調」しなければ、JRに飲み込まれてしまう。
 JR東は私鉄連合の片隅を少しずつ切り崩している。アメとムチで一社一社、ほんの一部の路線、ダイヤ、駅をネタに切り崩してくるに違いない。
 次はどこがJR東の軍門に下るのだろうか。