あおなみ線を見て、駅舎と文化を考える

dechidon2004-12-21

名古屋にあおなみ線が開業して3ヶ月弱。今もそこそこ順調な乗客数を保っているように見えます。
この新線の駅を観察すると、どの駅も同じような形であることに気付きます。屋根や掲示板、椅子などほぼ同じものが使われています。埼京線大江戸線などは、駅毎に色を変える、壁画を変えるなど特徴のあるホームになっていますが、あおなみ線はそのような変化を作っていないようです。

現在、建設の進む中部国際空港も当初の曲線的なデザインを変更し、直線的デザインにしたという話を聞いたことがあります。その理由は「経費削減」。曲線にすると、同じ部材をたくさんつなげて作るのではなく、曲線に応じて、一つ一つがオリジナルになる、それに対して直線なら、同じ部材をたくさん使って作れるから、その分コスト削減になるとか、清掃面からもやりやすく、維持管理費が浮くとかそういうことだと理解しています。
さすがに、トヨタが経営にかんでいるだけあります。

あおなみ線も同じ発想ではないかと思うのです。
同じ部材を多数利用することにより、経費削減を行ったのでしょう。ホームは味も素っ気もなく、駅係員は少なく(しかも、ほぼJRのOBと思われる方々)、削るところは全部削って作られているように見えます。

かつて、駅は鉄道会社が建てました。だから、柱に古い線路が使われました。今でも、古い駅の柱は線路で出来ています。新橋駅にも原宿駅にさえも線路でできた柱があります。
わたしが一番好きなホームは、東京駅の5、6番線です。いまだに木の柱に木の屋根のホームです。スピーカーも案内板も木の柱にぶら下がっています。

関東の駅百選」に選ばれている駅でも私にとっては、「?マーク」の付く駅は多くあります。評価基準が違うといわれればそれまでですが、駅の美しさ、個性、効率性、文化性は、色や壁画を変えるところにあるとは思いません。新しい建物だから、工法が優れているから、複合機能を持っているから、地域の代表的な駅だからというだけで、選ばれたわけではないはずです。駅前に奇抜な彫刻を置いているから文化的な駅ではないはずです。
駅はかつてもっと文化的な意味合いを持っていたはずです。それがどこに行ってしまったのか。

あおなみ線各駅が評価されるには、数十年かかると思います。