CATV会社

CATVの意義

かつて鉄道会社が電力会社を経営する、あるいはその逆に電力会社が鉄道会社を経営してることがあった。それは、鉄道が電気を消費するということとともに、線路が主要送電路となり、沿線開発で住民を増やし、電力の顧客を同時に増やせるというメリットがあったからだ。
CATVをテレビ同様の情報メディアと捕らえると、鉄道会社がCATV会社を持つ意義は少ない。しかし、沿線価値向上の観点から、地域ネットワークの構築や地域情報の提供、沿線住民への通信インフラの提供として捕らえると、大きな意味を持つ。
CATV会社を設立あるいは主要株主として持っている鉄道会社は、

その他にも

  • 京急ジェイコム湘南(J−COMとの共同出資企業は実質、J−COMの主導で動くので、鉄道会社の色は少ない)
  • 京阪=ケイネット
  • 伊豆急伊豆急ケーブルネットワーク(伊豆急は東急系列のため、イッツコムなども出資)

など、多くの鉄道会社がCATVに出資している。

CATV設立運営には、初期投資がかなりかかるため、自治体や地域の主力企業が連合して設立するケースが多い。その中でも、鉄道会社が独自でCATV網を形成しているとすれば、それだけその事業に沿線価値向上の芽を感じているからだと思う。

しかし、このうち、東上ケーブルテレビは外資のメディアッティ・コミュニケーションズに買収されてしまった(12月20日発表)。東武は2004年ストア事業をマルエツ+丸紅グループに売却、物流事業をプリヴェチューリッヒ企業再生グループに売却した。ドラッグストア事業もマツモトキヨシと2002年12月に業務提携、コンビニはAM/PMのフランチャイズ契約となっている。
それだけ、外部の力を使うことに抵抗のない企業群になっているとは考えられる。CATV売却もその流れのなかにあると言えるが、同じように他の鉄道会社系列のCATV会社も独自でグループ企業と地域に対する貢献がなくなりつつあることに変わりはない。

CATV会社は総務省の指導により一地域一社の独占体制でやってきた。もともとが情報過疎の地域用に考えられていたシステムだとおもう。実際、行政の後押しのある地域では加入率が7割を超える地区があると聞く。鉄道系列のCATV会社は都市型CATVであり、過疎地域のそれとは違う。
今後、鉄道会社がCATV会社を傘下に治め経営する場合、他の情報過疎地域向けCATV会社と違い、CS放送やBSデジタルの再放送など番組提供会社からの垂れ流しや、ブロードバンド回線の提供だけでは存在価値を見出せなくなることは間違いない。それらサービスに加え、黒字であることはもちろんのこと、沿線価値向上、グループ企業との相乗効果を見出せる戦略が求められるに違いない。たとえば、地域内通話サービスなどを手がけ格安で電話サービスを提供したり、宅配便やクリーニング引き取り、食品配送サービスなどの地域サービスを双方向通信回線を通じて提供したりすることが求められるに違いない。