現場社員への権限委譲を考える1

<ファーストフード店で>
あるファーストフードの店で子供向けセットを買おうとしたときのことです。
どうやら、フライヤーが故障でしたようで、フライドポテトが出せないようでした。その時対応した販売員は「他の商品でお願いします」といいました。子供がその商品を選ぶのは、商品そのものよりもついてくるグッズが欲しいからで、「ポテトはいらないから、それを売ってほしい」との交渉をしました。結果、ポテトなしでそのセット商品を買いました。
後でこの話を友人とすると「普通、そういう時は、ポテトの代替の商品(パイなど)を出してくるとか、割引券渡すとかするよね」と言われたことを記憶しています。
おそらく、その時私を応対した販売員は、プラスアルファのサービスを提供する権限を持っていなかったのではないかと思っています。マニュアルに書いてないことが起こったときに対応できない典型的な事例のひとつであると思います。
<評価されるサービス>
様々なサービスの評価事例を見ると、お客様のお困りごとに対して権限を越えて対応したようなに見えるものが評価されていることがあります。成田空港の昨年の「CS Award」で表彰された事例でも、外国のお客様のお忘れ物を成田空港警察まで一緒に受け取りに行ってあげたものが評価されていました(交通新聞参照)。良く使われる事例では、ホテルでの忘れ物を飛行機に乗って外国まで届けたり、高島屋の一粒のぶどうのように事例などもあります(なんと、本になっていました)。
http://www.npf-airport.jp/main/news/news_0308/news/news_data05.html
http://www.810.co.jp/book/ISBN4-938564-82-3.html

これらの事例に共通するのは、

  • サービス提供者の役割をなんらかの形で超えているように見える
  • そのサービスを提供することで強力なリピーターを作ることができる
  • 他の人にも感動を与えることができる

という点でしょう。
これらを現場に導入してサービスの改善を行っていくことが必要ですが、実際、それがなかなかできないでいることが多いように思います。ベンチマークの手法が間違っているように思います。
たとえば、○○マネジャーと称する専門職で現場サービスをカバーする方法をとる会社があります。その社員には権限が与えられ、お客様へのサービスは格段に向上します。しかし、そこまで費用と人を投入できる会社は多くありませんし、特定の社員だけがサービスを担うという大いなる過ちを犯していきます。
結局は、「最前線の社員を信用していない」ことに変わりはないのです。