現場社員への権限委譲を考える3

<一般化されていく事例>
JR九州博多駅でのこと、改札で「小倉に行くに、どうすればよいですか」と聞き、ソニックの切符を見せました。もちろん、丁寧に案内を受けたのですが、面白いのはその後、階段を上っていると「ただいま停車の電車は・・・・小倉方面ソニック○号はこの後・・・」と、私向けの放送が入ったのです。普通電車がその番線には止まっており、10分ほど待たないといけないことを教えてくれる放送でした。
どうやら、JR九州はこれを一般化しているようで、小倉でも同様の体験をしました。
おそらく、褒められた事例を研究し、一般化することを検討したのでしょう。不案内な旅行者には極めて好評なサービスです。

最初、誰が発想したにしろ、それを一般化し、広めていくことができない企業がほとんどです。様々な言い訳(時間がない、改札に放送設備はない、他のお客様の案内で忙しい)の元、実行されませんし、それを全社に落としていくための組織的な活動もないことが多いと思います。
設備や制度は簡単にまねできますが、このような人に関する意識はそう簡単にはまねできません。

<現場に埋もれる情報>
最前線で仕事をしていると、お客様からいろんな問い合わせを受けます。しかし、その場その場でそれに対応し、問い合わせ内容を記録することは余りありません。何かの会議のときに「こういう問い合わせ多いよね」という話になり、「じゃ、案内看板でも出すか」で終わってしまう程度でしょう。
問い合わせが多い=お客様のニーズも多いわけですから、そこから商品やサービスを開発する余地があるのではないでしょうか。流通業ではそのあたりの制度ができていて、様々なサービス改善に生かされているようです。ちゃんとしたスーパーの店頭には、お客様の声ボードがあり、店舗責任者からの回答、対策が掲示されています。
現場の改善がうまくいっているところは、現場の社員がその問題を解決する手段と権限を持っています。最前線の社員が案内看板を新設したり、パンフレットを増刷したり、月にいくばくかの予算権限を持っていればできることはたくさんあります。それらをいちいち本社関連部門に聞くほうがスピードが落ち、サービスの低下と現場モラールの低下を招きます。