視野を広げる

「駅周辺の情報を自分の足で見て回っている?」と様々な駅社員に聞いてみたところ、聞いた20人のうち5人しか歩いていないことがわかりました。地方民鉄で鉄道とバスが平行して走る区間でバス運転士に「○○美術館は、電車だとどの駅が近いでしょうか?」と聞いたところ、駅名は知っていましたが、何駅目は答えられませんでした(十数駅しかない路線)。
恐ろしいほど、自分の業務外には無頓着な社員が多いのが現実です。
彼らに「視野を広げなさい」とか「周辺知識を勉強して下さい」と言ってもおそらく無理があると思っています。

TDRで掃除をしている人に「プーさんのボールペンって、どこで売ってますか?」と聞くと、即座に場所を的確に教えてくれました。この人は、掃除専門の人で、物販担当者ではないはずです。
デパートの案内窓口で店内の質問をすると、だいたい正確に答えてもらえると思われます。しかし、「○○のフレグランスは、どこにありますか?」と聞いたところ(私鉄系百貨店4店で試した)すべての案内係の人がその百貨店のフレグランス売り場を案内されました。しかし、そのブランドは、フレグランス売り場ではなく、そのブランドの女性服飾売り場にしかおいていないものなのです。サービスに長けていると思われる百貨店でもイレギュラーには弱いものです。
以上は「案内」という側面での問題ですが、一事が万事で、駅社員にグループ企業のことを聞いても、うまく答えられる人は少ないようです。
私が試してみたのは、駐車場の位置やグループの新しいサービスなどですが、100%答えてもらえませんでした。逆も同じで、百貨店の受付の人に電車種別(特急の切符を買いたい、という程度)に関することを聞いても、駅を案内されただけでした。

今後、グループトータルの価値創造を目指す場合、より広い案内知識が求められると思います。駅周辺知識、グループのサービス案内など広い知識とそれらを提供し、お客様の利便性を高める意識が重要になるのではないでしょうか。
この状況を変える手続きは、サービスの対する会社の姿勢を変えることからスタートし、現業社員の役割を変えることがその次に続くと思います。TDRの掃除担当者は、TDRが大好きという前提があって、何でも知っていたと思うのです。現業の社員が、自社を嫌いだ、ということはないと思います。違うのは、自分の業務やグループにまで視野が広がっていないこと、それだけではないでしょうか。