ストックビジネス

<交通企業にとっての不動産の意味>
不動産開発は、鉄道関連企業において主要な事業のひとつです。JRや第三セクター、公共系鉄道会社にとっても、間接的に非常に重要なものとなります。すなわち、公共系企業であれば、沿線に工業団地や病院・学校など公共施設を同じ経営主体である市町村あるいは都道府県・国と相談の上作ることで集客が可能になります。事実、主要な顧客が高校生である第三セクターも多いようです。三陸鉄道は県立病院の移転でかなりの収入を失ったと聞きます。JR東海は、御殿場線に2002年長泉なめり駅を開業しましたが、地元の要請で作った駅とはいえ、駅前に県立がんセンターなどができたからこそ、成り立つ駅となったはずです。
最近では、小田急電鉄が「はるひの駅」を開業、周辺の宅地開発が加速しそうです。
このような貴重な不動産事業ですが、こと「再開発」ということになると、乗り気な鉄道会社がないように感じます。古い鉄道沿線では、駅前が非常に雑然としていることがあります。その駅前を変えられるのは、鉄道企業以外にないはずですが、思うほどそこに積極的な会社は少ないように思われます。
小田急電鉄海老名駅前再開発で「ビナウォーク」を作った事例は、小田急電鉄によって行政・地元商店街・電鉄会社による、三位一体の再開発として紹介されていますが、このように条件のうまく合致する再開発事例は少ないのではないでしょうか。
http://www.odakyu-co.com/recruit/job/project002.html

ストックビジネス
これからは、交通企業もストックビジネスに広く深く手を付け始めると見ています。一度確立させた沿線価値を再度生かすビジネスです。沿線の外周部に向かっていた開発が、沿線の核の部分にも戻ってくるのではないかと見ています。雑然とした古くからの商店街や薄暗い高架下、入り組んだ駅前の路地をどのように変えていくか、手腕が問われます。主導を握るのは必ず交通企業です。そうでなければ、沿線価値向上にはつながりません。複数の交通機関の連携強化だけではなく、地元といったいとなった再開発を期待します。