日経ビジネス2005年3月7日号を読む

「西武−時が止まった経営」という題でまとめられた特集を読んだ。
西武をはじめとした大手私鉄の経営戦略を同列に並べ、理念を忘れた小林一三モデルの展開から、含み益経営の崩壊を説いている。
今、大手民鉄各社は、「鉄道を柱」にする戦略から、「鉄道もひとつの柱であり、流通やレジャー、不動産などの複数事業を行う会社」になりつつある。
東急のように沿線に特化してブランドイメージを高めようとしている会社と、阪急のように沿線外に活路を見出そうとしている会社には差があるように思える。企業の拡大モデルは様々だが、パイロット的な事業がうまくいけば、それを横展開するのが普通の考え方。その点では、阪急の方法が普通である。しかし、交通企業の成功モデルは、沿線特化にある。さかさまに言えば、沿線特化を戦略とした企業が交通企業だ。
日経ビジネスのこの記事の中では「競争力の弱いグループ企業が沿線でサービスを展開するのは、沿線住民にとっては利便性、快適性の面でマイナスになる」としている。これまで、このブログでも指摘してきたことと同じだ。解決策は、沿線に特化しつつ、他の企業との連携をはかり、サービスを強化していくこと。沿線における軸足を外しては、交通企業とはいえない。
そのなかで、相鉄のように「流通や販売などの事業は不得意」と考え、デベロッパー事業に特化することもありえる。無理して自社で「競争力の弱い」事業を展開する必要はない。