福知山線(宝塚線)脱線事故の原因私見(2007年問題)

福知山線宝塚線)の死者は107名(訂正:2005年5月4日)。
謹んでご冥福をお祈りしたい。

この重大事を鉄道関係者は自分ごととして、重く受け止めていると思う。
安全・安定は、最大のサービスだったはずだ。それをないがしろにするものは、除去するのが鉄道会社の普通の思考だったはずだ。
おそらく、原因究明の段階では、カーブで急制動をかけた、置石があったなどと理由付けられるだろう。さらに、JR西の管理体制がどうだったかもいずれ明らかにされると思う。他にも私鉄との競争の中で運転士に定時運行の縛りが強くあったことなども報道されている。ネットワークで機能する鉄道にとって、1列車の遅れは、複数路線に波及するため、運転士に強く定時を求めるのだろう。設備面の不備・投資不足も指摘されるだろう。運転士の未熟さも指摘されると思う。複数回、オーバーランを起こしていたという事実もある。

私は、この事故の背景には、団塊の世代大量退職に伴うJRの人員対策があると思う。
2007年以降数年間で社員の数十%が退職する。そのために早期に乗務員を養成しようとする。かつては、適性がない、と考えられた社員も車掌から運転士にしているのではないか?と疑う。京福電鉄の事故の際の運転士も、中途採用で経験年数が短かった。
乗務員の若返りをあらゆる路線で経験する。駅二年、車掌二年、そして運転士へ。早ければ、23歳前後で運転士になるシステムになってきている。もっと早い鉄道会社もあるかもしれない。
20才台前半の社会経験の浅い社員に数千人の乗客の命を預かる仕事をするという責任感を持たせられるのか、そこから問いたい。
鉄道各社が抱えるこの問題に対して、どのような回答を出すのだろうか。対策を打つのは、もう、時、すでに遅しでではないかとさえ思う。定期採用を止めたあの数年間を悔やむ関係者も多いに違いない。
これは、運転士だけの問題ではない。保線や設備、車両、電気の全てにわたる部門で2007年問題は起こっているはずだ。技術系だけではなく、営業関連でも起こっているだろう。

(追補:2005年5月5日)
東京新聞に下記のような記事が載りました。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050428/mng_____tokuho__000.shtml
また、朝日新聞5月2日朝刊にも同様の内容の記事が掲載されました。
着目するところは一緒と言うことでしょうか。