鉄道社員が挨拶をするとは

dechidon2005-01-12

埼玉高速鉄道社長の杉野正さんの本(isbn:4761261331)の中に「しなの鉄道に来て最初にやったことは「挨拶研修」だった」というくだりがあります。その目的は、「社員が挨拶をすることで(これまでしていなかった)、お客様に「変わっていこうとしていることを意識していただく」ことだったそうです。すなわち、ファン客をつかもうという行為に他なかったのです。
これを読んだときに、国鉄がJRになったときのことを思い出しました。あの時も同じことがあちこちで行われていました。
今、私鉄各線で改札や出札できちんとした挨拶をしている会社はどれくらいあるのでしょう。「改札での挨拶なんて、うるさいだけだ」という意見も寄せられていると聞きます。その必要性から問われなければいいけないのでしょうが、最前線の社員がとりあえず日常的に何かできるとすれば、お客様への声掛けではないでしょうか。顧客接点をそこに見出すことができれば、それはそれで良いと思っています
事実、銀行に入れば、フロアの担当者が「いらっしゃいませ」と声を掛けます。99%の顧客は声を掛けられたからといって反応しません。百貨店でもコンビニでも店内に入れば、挨拶の声がかかります。ある意味、基本中の基本と言えます。鉄道ではこれまでなされてこなかったので批判も出ますし、駅構内は道路など屋外同様公共空間として見られるので、あまり挨拶に適した空間ではない、思われてきたのかもしれません。
福岡市営地下鉄の係員は朝、改札口で挨拶をしています。公営鉄道では珍しい光景です。それには理由があって、福岡市交通局では一部の駅を外部委託しているそうです。そのため職員に危機感があり、サービス改善や効率化に目が行くようになったとか。横浜市交通局も京王設備サービスに委託を決めました。職員の意識改革は進むでしょうか。
http://www.city.yokohama.jp/me/koutuu/info/gyoumuitaku/iinkai3.html
挨拶はそれそのものがお客様へのサービスのなるとは思いません。しかし、他産業では「当たり前」の行為ですからするに越したことはありません。それ以上に、顧客接点を作っていく第一歩として捉えて励行することが必要なのかもしれません。